取り付けるだけで、安全でおいしい水を好きなだけ使える浄水器。装置本体が比較的小さいので場所を取らず、ランニングコストもウォーターサーバーと比べると安価に抑えられます。
手間なく簡単に浄水を利用できるため、「水道水を通すだけで本当にきれいな水になるの?」と不安に思うかもしれません。実は、浄水器の内部に搭載されている「ろ過フィルター」が大きな役割を果たしているのです。
浄水器は、装置内部のフィルターに水道水を通すことで不純物を取り除き、安全でおいしい水にしています。今回は浄水器の性能の要とも言える、ろ過フィルターの役割やその効果についてご紹介します。
浄水器のフィルター(ろ過材)の仕組み
浄水器には、装置内部にフィルターが搭載されています。このフィルターは何層かのろ過材でできており、水道水を通すと不純物を取り除かれる仕組みです。これによって安全でおいしい水となります。
フィルターの違いが浄水能力の差に
浄水器にはさまざまな種類や機能があるように、搭載されているフィルターにも複数の種類があります。これらフィルターの種類によってろ過できる不純物は異なり、浄水能力にも差が出ます。さまざまな不純物をろ過できるフィルターを搭載した浄水器のほうが浄水能力は高く、高性能と言えるのです。
ろ過した「純水」はどんな水?
水道水をろ過し、不純物を除去することによって、水道水を純水に近い水にすることができます。では、純水にはどんな特徴があるのでしょうか。
雑味がない
水道水独特の匂いや、違和感を覚えるような苦味や渋味などがない味わいです。ごくごくとおいしく飲むことができるのはもちろん、料理に使う場合にも食材そのものの味やおいしさを引き出すことができます。
ミネラル分を除去
純水は無味無臭と言われますが、それは不純物とともにミネラル分も除去されていることが関係しています。水の味に関係しているミネラルなどの成分が浄水器のフィルターで取り除かれることにより、人によっては味わいや飲みやすさに物足りなさを感じてしまうことも。このような問題を解消し高い品質を追求するため、天然ミネラルを添加して水の味わいを保っている浄水器ワコムス トラスト(https://wacoms.jp/product/trust/)もあります。
フィルター(ろ過材)の種類
浄水器の浄水能力を左右するフィルターには、どのような種類があるのでしょうか。こちらでは各フィルターの性能や、除去できる成分についてご説明します。
活性炭フィルター
活性炭とは、0.1ミクロン程度の細かな穴や亀裂がある素材です。この穴や亀裂に、不純物や嫌な匂いを逃さず閉じ込め、水をろ過します。とくに匂いを除去するのが得意で、他のろ過材よりも安価であるため多くの浄水器に利用されています。
また、活性炭は表面積が大きいので目詰まりしにくく、比較的長持ちするのでフィルターの交換頻度を減らせます。味を左右するミネラル分を残すことができるのもメリットです。
除去できる成分
残留塩素 | 鉄サビ (にごり) | カビ臭 | カルキ臭 | 一般細菌 | トリハロメタン | 放射性物質 | 鉱物質 |
◎ | △ | ◎ | ○ | ○ | ○ | × | × |
中空糸膜フィルター
ストローのような空洞構造の化学繊維の束でできている、比較的安価なフィルターです。ストロー状の繊維には細かな無数の穴が開いており、その穴に不純物などが引っかかりろ過します。とくにサビやカビを除去するのが得意で、ミネラル分は残すことができます。よく活性炭フィルターと組み合わせて使われますが、穴が非常に小さいため目詰まりを起こしやすい点はデメリットです。
除去できる成分
残留塩素 | 鉄サビ (にごり) | カビ臭 | カルキ臭 | 一般細菌 | トリハロメタン | 放射性物質 | 鉱物質 |
× | ◎ | ◎ | △ | ◎ | × | × | × |
セラミック
セラミックとは焼き物(陶材)のことで、カルシウムやマグネシウムなどを主体としてできているフィルターです。セラミックの内部には細かな穴が開いており、その穴に不純物などが引っかかりろ過します。また、ミネラル分を残すことができ、ミネラルの添加に使用されることもあります。焼き物なので水圧が強くても歪みにくく比較的長持ちするため、フィルターの交換頻度を減らせる反面、導入コストは高い傾向です。
除去できる成分
残留塩素 | 鉄サビ (にごり) | カビ臭 | カルキ臭 | 一般細菌 | トリハロメタン | 放射性物質 | 鉱物質 |
◎ | △ | △ | ○ | △ | ○ | × | × |
逆浸透膜(ROフィルター)
「ROフィルター」とも呼ばれ、中空糸膜よりも細かい無数の穴が開いているフィルターです。水分子のみ通すので、有機物や無機物、雑菌などあらゆる不純物を除去でき、非常に高い浄化能力があります。そのため、ミネラル分も取り除かれます。
逆浸透膜は不純物をため込まず排出できるため、目詰まりしにくいのも特徴です。そのため、非常に長持ちし、フィルターの交換頻度を減らせます。ただし、その分価格は高くなります。
除去できる成分
残留塩素 | 鉄サビ (にごり) | カビ臭 | カルキ臭 | 一般細菌 | トリハロメタン | 放射性物質 | 鉱物質 |
◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
イオン交換樹脂
金属イオンを吸着し、無害なイオンと交換することができるフィルターです。ポット型の浄水器によく使われます。ミネラル分を残したまま硝酸や重金属などを除去できますが、有機物や細菌類の除去はできません。寿命が短いためランニングコストが高くなりがちです。
除去できる成分
残留塩素 | 鉄サビ (にごり) | カビ臭 | カルキ臭 | 一般細菌 | トリハロメタン | 放射性物質 | 鉱物質 |
× | ○ | ○ | ○ | × | × | × | ◎ |
このように、フィルターの種類によって除去できる成分には大きな差があることがわかります。もっとも多くの成分を除去できるのが逆浸透膜(ROフィルター)。高い性能を持つため比較的導入コストは高額になりますが、長持ちするのでランニングコストが抑えられる優秀なフィルターと言えます。
また、浄水器の中には、フィルター1種類を単体で搭載しているものもあれば、複数のフィルターを組み合わせている浄水器もあります。複数のフィルターを搭載した浄水器は、フィルターそれぞれの働きの相乗効果によって、より高い浄化能力が発揮されます。
フィルターの種類にも目を向けて浄水器を選びましょう
せっかく浄水器を導入するなら、できるだけ高い浄化能力を持つものを選択したいものですよね。高性能の浄水器であれば、より不純物を取り除いているため安心して水を利用することができ、おいしさも感じることができるでしょう。
高性能の浄水器というと高価なイメージがあるかもしれませんが、フィルターの種類によっては長寿命のものや、ランニングコストを抑えられるものもあります。浄水器は毎日、何年にもわたって使っていくものなので、安心して使える高い浄化能力があることが最優先ですが、実際に水を飲んだときの味や価格なども踏まえて総合的に判断するとよいでしょう。