妊娠中には、赤ちゃんの成長のためにも1日2リットルの水分を摂取することが推奨されています。
胎児に十分な血液を送るために必要なだけでなく、血栓症や尿路感染症など、妊婦さんがかかりやすい病気を防ぐためにも、水分補給は欠かせないものです。
とはいえ、水分であればなんでも大丈夫、というわけではありません。
今回の記事では、妊娠中におすすめのドリンクや、避けた方が良いドリンクをご紹介します。
【目次】
妊娠中の飲み物の選び方とは?
普段は好きな飲み物でも、妊娠中には注意が必要になる飲み物もあります。
ここでは、妊娠中に飲んでもいい飲み物の選び方を、ポイント別にわかりやすく紹介していきます。
カフェインが少ないもの
「妊娠中はカフェインを控える」というのは、聞いたことがありますよね。
カフェインを過剰摂取すると、めまいや心拍数の増加、興奮、不眠などの症状が出ることがあります。また、妊婦さんがカフェインを大量に摂取すると、赤ちゃんの低体重の原因になったり、鉄分不足による貧血を起こす可能性があるのです。
そのため、妊娠中はルイボスティーやノンカフェインのお茶など、できるだけカフェインの少ない飲み物を選びましょう。
糖分が少ないもの
妊娠中は、インスリンという血糖値を下げるためのホルモンの働きが抑えられるため、血糖値が上がりやすくなります。同時に、胎盤でインスリンを壊してしまう酵素が分泌されるため、妊娠していない時と比べ、血糖値が上がりやすくなるのです。
こうした状態が悪化すると、妊娠糖尿病になるリスクがあります。
フルーツジュースや清涼飲料水は、多くの砂糖が含まれているため、妊娠中に飲みすぎてしまうと急激な血糖値の上昇が起こります。
甘味料が添加されていないフレッシュジュースや野菜ジュース、お酢を水や炭酸で割ったビネガードリンクや、無糖の炭酸水などは、糖分による体への負担が少ないため非常におすすめです。
体調に合わせたもの
「つわりで気分が悪くて、お茶を飲むのもきつい」
「便秘気味で、気分が重い」
「貧血でフラフラしてしまう」
など、妊娠中は急激な体調の変化が多いものです。
自分の体調に合わせて、さっぱりした飲み物や、鉄分を補給できる飲み物などを用意しておくと良いでしょう。
また、妊娠中は女性ホルモンの一種である「プロゲステロン」が分泌されます。黄体ホルモンである「プロゲステロン」は、赤ちゃんをお腹で育てるために欠かせないものですが、同時に妊婦さんがイライラしたり、不安になってしまう原因にもなります。
リラックス効果を得たり、リフレッシュするためにも、体調やシーンに合わせた飲み物を選びましょう。
コンビニやスーパーで買える!妊娠中におすすめの飲み物
妊婦さんの悩みの一つに、「外出先での飲み物をどうするか」ということが挙げられます。家では手軽に飲める飲み物でも、外出先に持っていくことが難しいものもあります。
ここからは、コンビニやスーパーで手軽に買える、おすすめの飲み物を「妊娠中に感じやすい不調」に合わせてご紹介します。いざという時のために、しっかり覚えておきましょう。
気持ち悪いつわりが辛い方におすすめ
つわりの重さは人それぞれですが、中には口の中に何を入れてもつらい、という人もいます。そんな時でも飲みやすいのは炭酸水。
口の中がスッキリしてつわりの気持ち悪さが軽減され、楽になるという声もよく聞きます。最近はレモンやグレープフルーツなど、柑橘フレーバーの炭酸水も多く発売されているため、味のない炭酸水が好みでないかたは一度試してみると良いかもしれません。
また、オレンジジュースやグレープフルーツジュースなど、甘酸っぱいジュースもおすすめです。飲みやすいだけでなく、「飲んだらつわりが軽くなった」という声も。
ただし、果糖は取りすぎると血糖値の上昇が加速するため、飲みすぎないように気を付けましょう。
むくみや便秘が気になる方におすすめ
妊娠後期には、血液量が大幅に増える反面、おなかが大きくなって足腰のリンパが圧迫されていきます。
そうした時期に多くの妊婦さんが抱える悩みとして、「むくみ」「便秘」などが挙げられます。
むくみを解消するには、カリウムが多い飲み物を意識して摂ると良いでしょう。カリウムが多い飲み物には、オレンジジュースや麦茶が挙げられます。特に麦茶は、カリウムやカルシウムなどのミネラルが含まれている上、糖分もなく、カフェインも含まれていません。むくみを解消するためにも、普段からの水分補給にピッタリの飲み物と言えるでしょう。
ただし、夏だからといって冷えた麦茶を大量に飲むのはおすすめしません。最近は夏でも常温の麦茶が置かれているところも多いため、常温や温かい麦茶を選んで飲むのが良いでしょう。
また、便秘を解消するには、食物繊維を補える飲み物を上手に活用してみましょう。
食物繊維が含まれる飲み物は、麦茶、ココア、スムージーが挙げられます。
乳酸菌やビフィズス菌が入ったヨーグルト系飲料には、善玉菌を増やす効果があります。腸内環境を整えると同時に、悪玉菌の増殖を防ぎ、腸のぜん動運動を促進するとされています。
また、最近ではコンビニでも多く見かけるフルーツや野菜をたっぷり使った、甘味料が添加されていないスムージーもおすすめです。食物繊維だけでなく、ビタミンやオリゴ糖が豊富に含まれており、栄養価が高いのが特徴です。
水分補給としてだけでなく、栄養補給としても優秀な飲み物と言えるでしょう。
鉄分不足による貧血が気になる方におすすめ
妊娠中は一気に体内の血液量が増加します。そして、血液の成分割合も変化し、赤血球の数よりも水分量の方が増えるのです。そのため、赤血球中のヘモグロビンが足りなくり、めまい、立ちくらみなど、貧血の症状を訴える妊婦さんが非常に多いのです。
赤ちゃんに栄養や酸素を送るためには、血液が欠かせません。貧血になってしまうと、十分な酸素や栄養を赤ちゃんに届けることができなくなってしまうため、日々の食事だけでなく、飲み物からも鉄分を補給すると良いでしょう。
鉄分を補給できる飲み物には、野菜ジュースやヨーグルト飲料、ココア、ノンカフェインの栄養ドリンク、フルーツジュースなど、様々な種類のものが各社から発売されています。ぜひパッケージを確認しながら、自分の好みに合ったお気に入りの商品を見つけてみましょう!
妊娠中はNG!避けるべき飲み物
ここまで紹介した飲み物は、飲む際に気を付けるべきことはあっても、飲みすぎなどに注意すれば絶対にNGというものではありません。
しかし、妊娠中には飲んではいけない飲み物があります。
ここからは妊娠中にNGな飲み物と、その理由について解説していきます。
アルコール類
「妊娠中は禁酒」というのは、広く一般的に知られているため、妊娠生活を送る上で気を付けている人も多いかと思います。
アルコールは、お腹の中の胎児にさまざまな影響を与えることが分かっています。
妊婦さんが摂取した食べ物や飲み物は、胎盤を通じて赤ちゃんにも運ばれます。これは、アルコールも例外ではありません。
妊婦さんがお酒を飲むと、胎盤を通じて赤ちゃんにもアルコールが届きます。アルコールは肝臓で代謝されますが、赤ちゃんの肝臓は非常に未熟で、うまく処理できません。
そのため、妊婦さんの飲酒により「胎児性アルコール症候群(FAS: Fetal Alcohol Syndrome)」が起こるのです。
さらに「胎児性アルコール症候群」を大きく二つに分けると、「胎児発育不全」と「先天異常」というものがあります。
■胎児発育不全(胎児の発育の遅れ)
「胎児発育不全」は、おなかの中での発育に遅れが見られることです。過去に行われた大規模な調査では、1日60g以上のアルコールを妊娠初期に飲酒した妊婦さんから生まれた赤ちゃんは、他の赤ちゃんに比べて明らかに体重や頭位が小さい、という結果が出ています。
胎児発育不全の赤ちゃんは、出生時だけでなく、出生後にもさまざまな合併症、精神発達の遅れを発症するなどのリスクが高いことが分かっています。
■先天異常(生まれつきの病気)
先天異常の代表的なものとしてみられる症状が、小さな目や薄い唇など、外見に現れるものです。他にも、多動や学習障害など、出生後の生活にも影響を与えるものがあります。
これらはアルコールによる中枢神経系の障害が大きな理由の一つに挙げられるのです。他にも、生まれつき心臓が弱いケースや、関節の奇形といった形でアルコールの影響が現れることもあります。
お酒が好きな人にとって少し辛い期間ではありますが、妊娠中・授乳中はノンアルコール飲料などを上手に活用しながら、禁酒を心がけるようにしましょう。
妊娠中は注意したほうが良い飲み物
お酒のように、完全NGではなくとも、妊娠中には注意が必要な飲み物もあります。
ここでは、妊娠中に注意が必要な飲み物と、その注意点をわかりやすくご紹介していきます。
カフェインを含む飲み物
世界保健機関(WHO)によると、妊娠中のカフェイン摂取量は、1日あたり300mgまでが望ましいとされています。しかし、英国食品基準長(FSA)では、それよりも厳しい1日あたり200mgまで(コーヒーをマグカップで2杯程度)に制限するよう求めています。
まったくカフェインを摂らない生活というのもストレスの原因となりますので、妊娠中は朝や昼などの時間帯に、コーヒー1~2杯をたしなむ程度に摂取すると良いでしょう。・・・
また、エナジードリンクには1本あたりコーヒーの2倍のカフェインが含まれているものもあります。さらに紅茶、ココア、コーラ飲料にも、コーヒーの1/2程度のカフェインが含まれているものがあります。コーヒーと同じように、これらの飲み物にも注意を払いましょう。
ジュースや清涼飲料水
コーラやサイダーなど、甘い炭酸飲料や、糖分が多く含まれているジュースにも注意が必要です。
こうした飲み物を摂取しすぎると、妊娠糖尿病や肥満の原因となる上、血糖値が上昇することでより喉が渇きやすくなります。さらに飲むことで糖分の摂りすぎが加速する……という悪循環が生まれてしまうため、医師の指導にきちんと従いながら、量に注意して楽しむことをおすすめします。
甘酒
近年、甘酒はその栄養価の高さから「飲む点滴」とも言われ、妊娠中に飲むにも良いとされています。
しかし、甘酒には2つの種類が存在しており、そのうちの一つは「酒粕で作られた甘酒」です。これにはアルコールが含まれているため、飲んでしまうと胎児の発育にリスクを与える可能性があります。
もう一つの種類である「麹で作られた甘酒」には、アルコールが含まれていませんので、飲んでも問題ありません。アルコールが含まれていないことを、飲む前にしっかり確認してくださいね。
また、甘酒には糖分が多く含まれているため、飲みすぎには注意しましょう。
栄養ドリンク(滋養強壮剤)
体調の変化が大きい妊娠中には、滋養強壮を促す栄養ドリンクを飲みたくなる妊婦さんもいるかもしれません。
しかし、栄養ドリンクの中にはカフェインが含まれているものもあります。
ノンカフェインの栄養ドリンクを選び、わからなければドラッグストアに常駐している薬剤師や、産婦人科で質問してみるのがいいでしょう。
常温より冷たい飲み物
夏の暑い時期などは、冷たい飲み物が飲みたくなるものです。しかし、妊婦さんの場合は氷の入った飲み物や、冷たい飲み物は避けた方が良いとされています。
冷たい飲み物を飲んでしまうと、体が冷えてしまい、血行が悪くなります。お腹の赤ちゃんは血液を通して栄養や酸素を取り込んでいるため、血行が悪くなると発育に影響を及ぼす可能性があるのです。
また血行が悪くなると、便秘になりやすくなったり、冷たすぎる飲み物はお腹を壊す原因にもなります。
できるだけ温かい飲み物や、常温の飲み物を選ぶようにしましょう。
妊娠中はこまめな水分補給を心掛けましょう
妊娠中の飲み物は、母体や胎児に影響を与えます。足りない栄養をプラスしたり、逆にマイナスの影響を受けることもあります。
ここでは、妊娠中に摂取する水分の質について、さらに詳しく解説していきます。
妊娠中に飲む水分の質が大切
赤ちゃんを包む羊水は、赤ちゃんを振動や衝撃から守る働きがあります。同時に、赤ちゃんの肺や消化器官など、内臓の発達を促す役割も持っているのです。
そんな羊水の質の良さを左右するのは、妊婦さんが飲んでいる水分です。
仮に、妊婦さんが体に良くない水を多く摂取していると、羊水が汚れ、赤ちゃんにも影響が及んでしましいます。
近年の研究では、汚れた羊水で育った赤ちゃんは、アレルギーやアトピーなどを発症するリスクが高いことが報告されています。
赤ちゃんの健康な体づくりのためにも、妊娠中は良質な水分を摂ることを心がけましょう。
家の中でいつでも水分補給ができる自給式タンク型浄水器がおすすめ
良質な水分を補給するために、ミネラルウォーターを常備している妊婦さんも少なくありません。しかし、重たいペットボトルは買い物にも不便な上、ゴミもたまりやすく、不便なことが多いのが難点です。
手軽に良質な水分を補給するには、自給式のタンク型浄水器がおすすめです。
ご家庭の水道とタンクを接続するだけで、いつでもろ過したての新鮮でおいしい水が味わえます。通常のウォーターサーバーと異なり、水が定期的に送られてくる、ということもないので、重たい水のボトルを交換する必要もありません。
新鮮なお水で淹れたノンカフェインコーヒーやルイボスティーは、水道水とは違った味わいを感じられるため、お水そのものをあまり飲まない妊婦さんも、検討してみてはいかがでしょうか。
参考記事
https://www.kusurinomadoguchi.com/column/articles/pregnancy-drink
https://www.hiro-clinic.or.jp/nipt/pregnant-drink/
https://zexybaby.zexy.net/article/contents/0023/
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