コラム

丸中先生コラム⑤「逆浸透膜(RO膜)」について

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医学博士 丸中良典先生一般財団法人 京都工場保健会 代表理事・会長/診療所長/総合医学研究所長 立命館大学総合科学技術研究機構 創薬科学研究センター チェアプロフェッサー 京都府立医科大学 名誉教授

Wellcareでは分子・細胞・動物レベルの基礎研究からヒトを対象とした臨床研究を通じて、人体の疾病発症を早期に予測できる因子の発見と疾病予防法開発を目指して研究を推進されている、医学博士 丸中良典先生の水と環境に関するコラムを5回にわたってご紹介してまいります。第5回は高性能浄水器フィルターとして注目されている「逆浸透(RO)膜」についてです。

半透膜という言葉をお聞きになったことはあると存じます。セロハンを使って理科の実験を行ったこともあるかと思いますが、この「セロハン」が半透膜の性質を持っているのです。セロハン膜は、水は通りますが、ある程度大きな物質(例えば、ショ糖(砂糖の主成分))は通しません。ある容器の中のなかにセロハン膜を入れることにより容器を2つに分け、一方には水だけ、他方には水とショ糖を入れます。そうしますと、ショ糖を入れた側へ水が引かれて行きます。このように半透膜を介して水を引く力を「浸透圧」と言います。ショ糖の入った側の容器に水が移動することにより、ショ糖の濃度が薄まっていきます。

では、ショ糖の入っていない側へ水を移動させることは可能でしょうか?答えは「イエス」です。では、どのようにしてショ糖の入っている側にある水をショ糖が入っていない側へ移動させることができるのでしょうか?簡単な例が「ろ過」です。「ろ過」をするにはエネルギーが必要です。ショ糖が入っている側に圧をかけると、水だけがセロハン膜を通ってショ糖が入っていない側へと移動します。これが、「逆浸透膜」といわれる現象(物)です。

 この逆浸透膜という現象を用いて、水に溶けている不純物(水以外の物質)をろ過して、不純物が混じっていない純粋な水(純水)を作り出すことができます。この純水を作るためには、大きく2つのことが必要となります。

1)半透膜の穴の大きさ(水のみを通し、水に溶解している物質は通さない)および

2)半透膜の強度 の2つの要素です。

1)の半透膜の穴の大きさに関しては、詳しい説明は不要かと存じます。では、なぜ2)の半透膜の強度が問題になるかをお話ししましょう。もちろん、2)の半透膜の強度の必要性は、1)の半透膜の穴の大きさと密接に関係します。水に溶解している物質で水以外の物質は通さないためには、半透膜の穴をできるだけ小さくする必要があります。この小さな穴に水だけを通すためには、大きな圧力を半透膜にかけることが必要となります。純水を作るためには、この大きな圧に耐えうるだけの強度を持った半透膜を作る必要があります。

 水以外の物質は通さないような小さな穴を持ち、なおかつ強い圧力に耐え得る半透膜があれば、種々の物質が溶け込んでいる水道水からでも逆浸透膜の原理を用いて純水を作ることは可能です。水道水の殺菌には重要であるが、次亜塩素酸やトリハロメタンなどの有害な物質に変化する塩素も逆浸透膜により飲用時には取り除くことが可能です。それには高性能(非常に小さな穴を持ちかつ強靭な強さを持った)半透膜が必要とされます。半透膜を上手に使うことは我々の健康を保つ上でも重要なことです。

医学博士 丸中良典先生
一般財団法人 京都工場保健会 代表理事・会長/診療所長/総合医学研究所長
立命館大学総合科学技術研究機構 創薬科学研究センター チェアプロフェッサー
京都府立医科大学 名誉教授

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