ご家族の健康や美容のことを考えると、「きれいなお水を飲むこと」は日頃から意識したいもの。ミネラルウォーターを購入する手段もありますが、浄水器が自宅にあるとより手軽においしい水を飲むことができ、ペットボトルなどのゴミも出ないので、とても便利です。とくにおすすめなのが、お手入れが簡単な「カートリッジ式浄水器」。今回は、健康と美容に気をつかいたい方に向けて、浄水器の要とも言える「カートリッジ」の役割や交換頻度についてご紹介します。
浄水器の機能とは?除去できる物質についても解説
浄水器の機能
浄水器の普及率は40%以上と言われており、多くの家庭で使用されています。浄水器は、水道水の中に含まれる塩素などの不純物を除去・減少させるための機器です。日本の水道水はそのまま飲んでも問題ない「安全な水道水」と言われていますが、これに大きく貢献しているのが「残留塩素」です。
残留塩素は、水道水が給水管の中を通る際に殺菌を行う効果があります。この残留塩素がないと水が雑菌にさらされてしまう可能性があるため、殺菌においては必要な物質です。ただし、残留塩素を含んだ水道水には「カルキ臭」と呼ばれる独特の匂いや味があるため、これらを取り除いたほうが飲料水としてよりおいしい水になります。
浄水器が除去できる物質
浄水器には「家庭用品品質表示法」という規定があります。この規定にある除去対象物質は以下の通りです。
- 残留塩素
- 残留塩素は、浄水場で水道水を殺菌した際に残った塩素のことです。水道水特有のカルキ臭の原因とも言われており、水道水の匂いや味が気になる場合は除去したほうがよい物質です。
- 濁り
- 「濁り」とは、水道工事や事故などの影響で流れ出した赤サビなどを含む成分のことです。水道水が濁っているときは水の色が赤っぽくなるか、透明でない状態になります。きれいな水を飲用したいときは除去したほうがよい物質です。
- 揮発性有機化合物
- 揮発性有機化合物は発がん性の疑いもある物質で、クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタンなどを指します。ほとんどの場合は浄水場で取り除かれますが、テトラクロロエチレンは、ドライクリーニングの排水が地下水や河川に混入している場合、水道水に混じっている可能性があります。安心して水道水を使いたい方は浄水器の導入がおすすめです。
- カビ臭
- 水道水のカビ臭は、ダムや湖沼でカビを発生させる藻が原因です。浄水場で処理されますが、夏場に臭いを感じることがあるかもしれません。カビ臭は水道水特有の匂いの原因です。匂いが気になる方は浄水器で取り除きましょう。
- 農薬
- 農薬は内分泌かく乱作用が疑われる物質です。人の体内にあるホルモンと近い効果を持ち、健康を害するおそれがあります。
- 重金属
- 重金属は、水道水が古い水道管を通った際や、鉱山廃水・工場排水が混入した際に、混じるおそれがあります。具体的には主に鉄や鉛といった物質です。
浄水器ごとに除去できる物質は異なる
浄水器ごとに対象となる物質は異なるため、どの浄水器でもすべての物質が取り除けるわけではありません。除去できる物質の詳細が気になる方は、浄水器の性能や説明書を確認してから購入しましょう。
浄水器のカートリッジが果たす役割
カートリッジ式浄水器に付属している「カートリッジ」には、水道水の汚れを取るためのフィルターがついています。フィルターは水を通した分だけ汚れるようになっており、汚れたまま放置していると不衛生な状態になるため、適切な時期を迎えたら必ず交換しましょう。フィルター部分の交換が必要な浄水器もありますが、カートリッジ式は交換しやすいのがメリットです。できるだけ手間なく浄水器をお手入れしたい方におすすめと言えるでしょう。
カートリッジの内部
カートリッジの内部はフィルターがそのまま内包されており、活性炭フィルターと中空糸フィルターがついています。炭でできている活性炭フィルターは水を通す際に物質を吸着させる役目があり、カルキ臭、カビ臭、溶解性鉛などを取り除きます。中空糸フィルターはスリット状の微細な孔があり、繊維をストロー状にした形をしています。赤さび、一般細菌などを取り除く役目があり、この部分で水道水のろ過が行われるようになっています。
放置はキケン!カートリッジ交換時期の目安
カートリッジは一定期間または一定量の水道水をろ過していると徐々に効果が薄れていきます。浄水可能な水量を超えると効果を発揮しなくなるため、使用限界が来る前に早めに交換することが重要です。また、不衛生な状態になることでカートリッジの内部にカビが生えることも。必ず適切な時期にカートリッジの交換を行いましょう。
カートリッジ交換時期の目安
では、具体的にはどの程度の期間でカートリッジを交換すればよいのでしょうか。浄水器のカートリッジは商品ごとに使用期間・交換時期が異なります。説明書などを参考にして目安の交換時期を確認したら、使用期間が過ぎたところで新しいカートリッジに交換しましょう。
- ポット型の交換頻度は「約2~6ヶ月に一度」
- カートリッジの交換頻度は蛇口直結型よりも少し低めですが、いずれもカートリッジの交換費用が都度かかります。
- 据え置き型の交換頻度は「約12〜24ヶ月に一度」
- カートリッジの寿命が長く交換頻度は低いため、購入後は長く使い続けられ、設置後のコストも抑えられます。
また、カートリッジは次の項目でも使用期間が左右されます。
・水道管や水道水の汚れ方
・浄水器を使ってろ過した水道水の量
浄水器のカートリッジはろ過する水が汚いほど除去する物質が増えるため、それだけ交換時期も早まります。また、交換時期がまだ来ていない場合も「水の匂いが気になる」「浄水量が減った」「浄水器を長期間使用していない」というときもカートリッジを交換しましょう。
また、水道管の劣化が原因で水道水が汚くなっている可能性も考えられます。これは水道管が劣化すると、さびなどが発生して水道水が汚れ、カートリッジの寿命が縮まるためです。水道管の敷設工事の記録などを確認することで、水道管の状況がある程度予想できます。心配な場合は、少し早めにカートリッジを交換しましょう。
浄水器の使用頻度にも注意!
カートリッジの寿命は、どれだけの水をろ過したかどうかで異なってきます。浄水器の使用頻度が高ければ高いほど、カートリッジの交換時期は早くなります。そのため、浄水器の使用頻度とろ過した水の量をメモしておくと便利です。カートリッジの通水量が目安を超えていたら、それが交換時期のサインとなります。
浄水器の使用頻度が低い場合は交換しなくて平気?
浄水器の使用頻度が少ない場合は、「使用期間を過ぎていてもカートリッジを長く使ってもいいのでは?」と考えがちですが、これは誤りです。カートリッジ自体は使えますが、使用期間を過ぎたカートリッジの内部にカビが発生して不衛生な状態になっているおそれがあります。「あまり使っていないからまだ大丈夫だろう」という場合も油断は禁物。カートリッジが不衛生な状態では本末転倒なので、しっかりと使用期間を守りましょう。
カートリッジの使用期間を守ろう
浄水器のカートリッジには使用期間があり、浄水可能な量を超えてしまうとその機能を失ってしまいます。説明書などをよく確認して使用期間を守ることで、浄水器の衛生状態が保たれ、いつでもきれいなお水を飲むことができます。交換頻度は浄水器の種類によっても異なるため、「カートリッジ交換の手間を省きたい」という方は、カートリッジの寿命が長く交換頻度が少ない「据え置き型の浄水器」がおすすめです。