「朝起きたら、みぞおちが重くて食欲がない」「なんだか胃がムカムカする」「よく胃もたれして困る」
今回は、そんな風にお悩みの方におすすめの記事です。
こうした胃もたれの症状は、病気だけでなく胃に負担をかける食生活やストレスによっても起こります。
本記事では、胃もたれの原因や対処法、胃がもたれる時におすすめの食べ物・飲み物、代表的な胃の病気などをわかりやすくご紹介します。
【目次】
- 胃もたれの症状と原因
- 胃もたれに関するさまざまな症状
胃もたれの主な原因 - 胃もたれした時におすすめの食べ物と飲み物
- 消化に良い食べ物
胃にやさしい飲み物 - 胃もたれした時に避けるべき食べ物と飲み物
- 香辛料や味付けの濃いもの
油っこいものなど消化に悪い食べ物
炭酸水
カフェインの入ったもの
アルコールの入ったもの - 胃もたれに効く市販薬と服用方法
- 市販の胃薬の種類
- 胃もたれの対処法と胃にやさしい習慣
- 食事を工夫する
生活習慣を改善する
ストレスを解消する
寝方を工夫する - 胃もたれが続く場合に考えられる病気
- 胃がん
ヘリコバクター・ピロリ感染
機能性ディスペプシア
その他の消化器疾患 - 胃もたれの対処法を知って健康な胃を取り戻そう
胃もたれの症状と原因
「胃もたれ」とは、本来胃の中で消化される食べ物が胃の中に留まり続けることで起こる、不快な症状の総称です。
「脂っこいものを食べた数時間後、気持ち悪くなった」
「食べすぎた翌日に、胃のムカムカが止まらなくなった」
など、その症状や原因はさまざまで、個人差があります。
ここでは、胃もたれの代表的な症状や原因をご紹介します。
胃もたれに関するさまざまな症状
胃に不快感を覚える「胃もたれ」の特徴は、人によって感じ方に差があることです。
主に、以下のような症状があります。
- 胃が重く感じる、腹痛がある
- 胃の内容物が消化されていない感じがする
- 就寝中、胃のムカムカで目が覚める
- 胃が膨張している感じがする
- 胃の不快感と共に、吐き気がして気持ち悪い
また、胃もたれと非常によく似た症状に「胸やけ」があります。胃もたれはお腹のあたりの不快感が長時間続くのに対し、胸焼けはみぞおちから喉にかけて、焼けるような不快感を覚えるのが特徴です。
胸焼けは何らかの理由で胃の働きが弱まり、胃酸・胃液や胃の内容物が逆流することで食道の粘膜が刺激され起こります。胸焼けは放っておくと吐き気が悪化し、嘔吐に繋がることもあるため、注意が必要です。
胃もたれの主な原因
胃は「胃袋」とも呼ばれる通り、食べたものを一時的に溜めておく機能があります。
健康な胃の中では、食べ物が胃に入ってくると胃液が分泌され、消化が始まります。2〜3時間後に「ぜん動運動」により胃から十二指腸へ送り出されます。
ところが、この時何らかの原因で胃の消化機能が低下したり、ぜん動運動が正常に行われなかったりすると、胃に食べ物が留まり続け、胃もたれになるのです。
胃もたれの原因には、食べ過ぎなどによる一過性のものと、病気などによる慢性的なものがあります。
さらに詳しくは以下のような原因が考えられます。
・暴飲暴食
食べ物の種類、食べる量、食べ方、飲酒量がそれぞれ極端に偏ると、胃もたれの原因となる可能性があります。
焼肉・揚げ物など脂っこいものの食べすぎには注意が必要です。
脂質の多い揚げ物や肉は、消化に時間がかかるため胃に留まりやすく、胃もたれに繋がります。
食べすぎも胃もたれを引き起こすことがあります。本来の胃の容量を超えて食べすぎると、胃のぜん動運動が妨げられ、食べ物が十分に消化されないまま腸へ送られます。しかし、消化できない食べ物は、十二指腸から胃に送り返されるシステムになっているため、消化不良に陥った食べ物が胃袋に留まり続けて胃もたれを誘発するのです。
大量の食べ物を一気に食べる早食いも胃に負担をかける原因となります。
過度なアルコールの摂取は胃に強い刺激を与え、胃粘膜を傷つけます。アルコールは食べ物を胃から腸へ送り出すぜん動運動の低下も招いてしまうため、胃もたれのリスクを高めてしまうというわけです。
・ストレス
人は精神的なストレスを抱えると、自律神経のバランスが乱れてしまいます。
自律神経が乱れると胃の血管が収縮し、胃の血流が悪化します。胃の血流が不十分だと胃を守る粘膜の分泌が減って、胃酸や消化酵素の量が減少し、消化機能の低下を招きます。その結果、胃の内容物が消化されにくくなり、胃もたれの症状が表れるのです。
また、ストレスは消化機能だけでなく、胃腸からの栄養を吸収する能力も下げると言われています。
食べたものの栄養をしっかり体に届けるためにも、ストレスは早めに対処することが大切です。
・加齢
「若い頃と同じような食事をすると、胃がもたれるようになった」という経験はありませんか?
これは、加齢によって胃の消化機能と運動能力が低下するためです。その結果、大量に飲食したり、脂っこいものを食べたりすると、その内容物が胃から腸へスムーズに送られず、胃もたれに繋がるのです。
年齢を重ねるごとに、身体に無理なく食べられるものや量を調節していきましょう。
・消化器疾患
胃や腸に何かしらの疾患を抱えている場合も、胃もたれの症状が表れることがあります。
代表的な例としては、胃がんやヘリコバクター・ピロリ感染、機能性ディスペプシア、慢性胃炎などです。
症状が長期間継続している場合は、消化器内科などで検査した上で専門医による治療を受けましょう。
※よろしければ本記事の胃もたれが続く場合に考えられる病気もご覧ください。
・妊娠
妊娠初期に起こる「つわり」の症状のひとつに、胃もたれが挙げられます。
また、一般的につわりが治まる妊娠中期以降にも、胃もたれする場合があります。
考えられる原因として、妊娠を継続するのに必要な「プロゲステロン」という黄体ホルモンの作用があります。胃の筋肉が弛緩し、胃のぜん動運動が弱まって、食べ物が胃に留まりやすくなることで、胃もたれに繋がるのです。
さらに、妊娠後期にも胃もたれすることがあります。子宮が大きくなることで胃が圧迫され、物理的に胃が膨らみにくくなり、ぜん動運動がスムーズにいかなくなるためです。
胃もたれした時におすすめの食べ物と飲み物
胃もたれしている時に、その症状を悪化させずに食事を摂りたい場合、どんなものを選べばいいのでしょうか。
ここでは、胃もたれした時におすすめの食べ物・飲み物をご紹介します。
消化に良い食べ物
胃もたれしている時は、消化の良いものを食べること、よく噛んで時間をかけながら食べることを意識してください。
お粥やうどんなど水分量の多い炭水化物は、消化吸収しやすいのでおすすめです。
また、鶏ささみ肉や白身魚、卵なども消化がよく、胃もたれの味方です。
肉・魚などの脂は胃に負担をかけるため、煮物や蒸し料理にするなど、油分をカットした調理法を選びましょう。
野菜の中では、大根や山芋、カブなど、消化を助ける「消化酵素」が多く含まれているものがおすすめです。消化酵素は熱に弱く、加熱調理をすると失われてしまうため、できるだけサラダや漬物など、生のまま食べることが消化に良い食べ方のコツです。
温かい野菜を食べたい時は、細かく刻んでじっくり煮込んだスープにすると、胃に優しい食事を摂れますよ。
せっかく消化の良いものも、一気に大量に食べてしまっては胃に負担がかかって本末転倒です。
よく噛んでゆっくり食べることで、唾液の分泌が促進され、消化の助けになります。
胃にやさしい飲み物
胃もたれした時は、飲み物にも気を配って身体の負担を抑えましょう。
ここでは、胃もたれした時におすすめの飲み物をご紹介します。
コンビニなどでも簡単に購入できるものばかりなので、ぜひ参考にしてください。
・白湯・水
水や白湯は、胃に負担をかけない上、最も手軽な飲み物です。温かい白湯は胃の温度を上昇させ、血流を促進することで消化機能を高める効果が期待できます。一度水を沸かして沸騰させ、40度程度まで冷ましたものを飲むと良いでしょう。
また、冷水は胃に負担がかかるため、水を飲むなら常温の水が好ましいです。コンビニでも最近では常温の水を扱うところが多くなってきたので、チェックしてみましょう。
・経口補水液
食事を摂れないくらい胃もたれが辛い時におすすめな飲み物が、経口補水液です。
経口補水液には、水分、塩分、ミネラルなどが体に吸収されやすいバランスで配合されており、胃に負担がかかりにくい特徴があります。
食事から塩分・ミネラルが摂れない時や、お腹を下している時に脱水の予防として飲むのも良いでしょう。
スポーツドリンクからも塩分・ミネラルは摂取できますが、大量の糖分が含まれているため、飲み過ぎには注意が必要です。
・麦茶・ルイボスティーなどノンカフェインのお茶
麦茶やルイボスティーなどのノンカフェインのお茶は、胃を刺激せずに飲めるおすすめの飲み物です。
「カフェイン」という成分は胃酸の分泌を促進し、胃の粘膜を荒らしてしまうことがあるので、胃もたれしてる時は控えてください。
コンビニやスーパーでも「ノンカフェイン」という表記の入ったお茶が販売されているはずなので、意識して選んでみてくださいね。
また、麦茶やルイボスティーは少し温めてから飲むと、より胃の負担が軽くなります。
・牛乳などの乳酸菌飲料
胃もたれで何も口にできない時は、牛乳や乳酸菌飲料がおすすめです。
牛乳や乳酸菌飲料は、胃の粘膜を保護する乳脂肪やタンパク質が豊富に含まれていて、胃酸から胃壁を守ります。
冷たいまま飲んでしまうと胃が強く刺激されてしまうため、温めてから飲むのがベストです。
乳酸菌飲料には、腸内細菌のバランスを整え、胃腸の負担を和らげる効果があります。
・りんごジュース
りんごには胃酸の量を調整したり、腸の調子を整えたりする効果があります。
りんごは果物の中でも消化吸収がよく、「クエン酸」「リンゴ酸」など、消化の助けになる成分も豊富に含まれています。
胃もたれした時に避けるべき食べ物と飲み物
胃もたれした時は、消化に悪いものや胃への刺激が強いものを避けることが大切です。
ここでは、胃もたれした時に避けるべき食べ物と飲み物をご紹介します。
香辛料や味付けの濃いもの
唐辛子などの香辛料に含まれる「カプサイシン」は、摂りすぎると胃の粘膜が刺激され、胃壁が荒れてしまうことがあります。
また、漬物や塩辛などの塩分濃度の濃い食べ物、酢のもの、柑橘系の果物なども、胃の粘膜を刺激します。
胃もたれしている時は、これらの食材は控えましょう。
油っこいものなど消化に悪い食べ物
ラーメンや天ぷら、焼肉などに含まれる脂肪は、胃では分解できないため十二指腸に送られて消化されます。
大量の脂によって十二指腸での消化に時間がかかると、新たに胃から腸へ食べ物を送ることができなくなり、胃に食べ物が溜まることでさらなる胃もたれの原因になります。
また、生クリームやカレーなども脂質を多く含むため、胃もたれした時の食事としては向いていません。
脂肪以外に、にんにくにも注意です。殺菌作用・抗酸化作用が強く、食べすぎると胃に強い刺激となるため、避けた方が無難です。
炭酸水
シュワッとのど越し爽やかな炭酸飲料は、飲むと気分が爽快になります。
しかし、炭酸は胃酸の分泌を促して、胃の粘膜を刺激します。
胃の中に多くの空気を取り入れてしまうことも、胃もたれの原因となります。
ゲップにより胃酸が逆流して粘膜を傷つけるリスクもあるので、胃もたれしてる時は控えた方が良いでしょう。
カフェインの入ったもの
空腹時にお茶やコーヒーなどのカフェイン入りの飲み物を飲むと、胃酸の分泌が増え、胃の粘膜が破壊されます。
油っこいものを食べた後にカフェインを摂取する場合は、消化を促進するので改善効果がありますが、空腹時は避けましょう。
コーヒーの場合はミルクなどを混ぜて飲むと、胃への刺激が和らぎます。
アルコールの入ったもの
お酒などのアルコール飲料は、胃のぜん動運動を妨げるだけでなく、胃粘液の働きを阻害します。胃の調子が悪い時は、お酒の席でも無理せずノンアルコール飲料を選びましょう。
二日酔い翌日の「迎え酒」も、症状の悪化を招くため厳禁です。
胃もたれに効く市販薬と服用方法
胃もたれの症状を改善するには、市販薬に頼ることも、ひとつの有効な手段です。
胃もたれに効く市販薬と、その服用方法をご紹介します。
市販の胃薬の種類
市販の胃薬を大きく分けると、胃もたれや食欲不振、腹部の膨満感を抑える「健胃剤」と、食べすぎや飲み過ぎによる胃もたれに効く「消化酵素剤」の2種類があります。
「健胃剤」は胃粘膜の修復を促進する効果があり、「消化酵素剤」は消化を促進する効果があります。
自分の症状や求める効能にマッチしたものを選びましょう。
何を選べばいいか分からない場合は、薬剤師や登録販売者にたずねてみてみてください。
また、妊娠中や授乳中にも飲める胃腸薬があるので、かかりつけの医師に相談してくださいね。
胃もたれの対処法と胃にやさしい習慣
胃もたれした時は、食事の仕方や日々の暮らし方など生活習慣を整えることも大切です。
ここでは、知っておくと安心な胃もたれの対処法や、胃に優しい習慣をご紹介します。
胃もたれした時はもちろんのこと、日頃から対策をして胃もたれ防止に役立ててくださいね。
食事を工夫する
胃もたれの大きな原因のひとつである食事。
普段の食生活を見直すことで胃もたれを改善することが可能です。
・刺激の強いものや脂っこいものを避ける
ご飯やパンが胃に留まる時間は2時間くらいであるのに対し、たくさん脂っこい食事をすると完全に消化するまで5~6時間かかることもあります。
揚げ物や焼き肉など脂質の多いメニューや、香辛料をたっぷりと使った料理を避けることで、胃への負担を抑えることができます。
飲みの席などで脂っこい食事が避けられない場合は、キャベツ、大根、カブなど消化の助けになる食材も一緒に摂りましょう。
食後にホットミルクを飲んだり、ガムを噛んで唾液を分泌させるのも消化の助けとなります。
・腹八分目を目安にゆっくり食べる
暴飲暴食や早食いは消化不良を起こしやすく、胃に大きな負担がかかります。
腹八分目を意識して、ゆっくり食べることが、胃の負担を減らします。
咀嚼回数が多いと、胃液や唾液などの分泌も高まり消化を助けます。
食べ物をよく噛むことで満腹中枢が刺激されて満腹感も得られやすくなります。
食後には30分ほど食休みの時間を設けると、胃が消化に集中できるため、胃もたれ防止に役立ちます。
・食事のタイミング
夕食はタイミングに気をつけましょう。
夜間は日中よりも消化機能が低下しているため、寝る前に食事をとると胃もたれしやすくなります。寝ている間も胃や腸が消化のために活動することで、睡眠が浅くなる原因にもなります。
食事後すぐに横になると食べ物や胃酸の逆流にも繋がりますし、夜間の高カロリーな食事は脂肪として蓄積しやすくなります。
胃をはじめとした身体のためにも、夕食は就寝前の2〜3時間前には済ませ、寝る前には食べたものが消化し終わっているようなイメージが理想的です。
どうしても深夜に食事したい場合は、夕方などに軽食をとり、深夜は消化の良い雑炊やスープなどを控えめに摂るとよいでしょう。
・飲み物の飲み方を工夫する
胃に負担をかけない飲み方のコツは2つあります。
1つ目は、飲み物の温度に気を配ることです。
極端に冷たい飲み物や、熱すぎる飲み物は胃にとって強い刺激となるため、常温または少し温めたものを飲みましょう。冷えた飲み物を飲む時は、口の中で少し温めてから飲み込むと胃の負担を減らせます。
2つ目は、こまめにわけて飲むことです。胃が弱っている時に、一度に大量の水分をガブガブと飲んでしまうと、胃酸が薄まり正常に消化できなくなることがあります。
1回あたりに飲む量は200ml(コップ1杯)程度に抑えましょう。
生活習慣を改善する
食事以外の生活習慣を見直すことも、胃もたれの改善に役立ちます。
すぐに実践できる簡単な方法をご紹介しますので、取り入れやすいものから試してみてくださいね。
・朝日を浴びて体内時計をリセットする
自律神経の乱れは、そのまま胃の不調に繋がります。
自律神経を整えるために一番簡単な方法は、朝起きたらカーテンを開け、朝日を浴びて体内時計をリセットすることです。
朝日を浴びることで、睡眠ホルモンである「メラトニン」の夜間の分泌が促され、質の良い睡眠を手に入れられます。
自律神経系は1日の中でリズムを作っており、日中は交感神経、夜には副交感神経が活発になります。そのリズムを整えるためには、規則正しい生活を送ることが大切です。
体内時計をリセットしてしっかり睡眠をとることで、自律神経のリズムを整えましょう。
・十分な睡眠をとる
睡眠不足は、自律神経の乱れの原因となります。健康な胃腸のためにも、十分な睡眠が必要です。
休日についつい寝すぎてしまう……という人も多いかと思いますが、毎日決まった時間に就寝して起床することが、生活リズムを整えるコツです。
・適度に運動をする
日頃から適度に身体を動かすことで、胃もたれの予防・改善をすることができます。
食後すぐは消化できていない食べ物が胃の中に留まっているため、食後1~2時間後のタイミングで運動するのがベストです。
いつもより歩く距離を増やすなどのウォーキング(有酸素運動)、スクワットや腹筋など(筋肉運動)を組み合わせるのがオススメです。
・タバコ・飲酒を控える
タバコを吸うと、血管収縮により血流が滞ります。
これにより、胃に張り巡らされた毛細血管の内部が酸欠となり、正常な消化機能を失ってしまいます。
また、アルコールは胃粘膜を傷つけ、ぜん動運動の低下を招きます。
胃もたれや胃の不快感を覚えた時は、喫煙や飲酒を控えましょう。
ストレスを解消する
強いストレスは慢性的な胃腸の機能低下に繋がります。
ストレスを解消するには、十分に休養を取ったり、疲れすぎない程度の運動をしたりするなど、身体的なケアを行うと効果的です。
気分転換に趣味や好きなことに没頭するなどの時間を設け、心からリラックスするのも大切です。
ストレスが溜まりすぎる前に、うまく発散させてくださいね。
寝方を工夫する
食後、すぐに就寝するのは胃にとって負担になりますが、少しだけ横になるのは消化を助ける効果があるとされています。
この時、仰向けに寝てしまうと胃が圧迫されてしまうため、クッションや枕などで上半身を少し起こす「半座位」の状態をキープします。
横になる時は、体の右側を下にすると胃の内容物が腸に送られやすくなります。
ただし妊娠中期以降の場合は、右向きに寝ると腹部の静脈が圧迫されてしまうため、吐き気をもよおす場合があります。仰向けも同様に胃や内臓が圧迫されるため、左向きに寝るのがおすすめです。
胃もたれが続く場合に考えられる病気
慢性的な胃もたれが改善しない場合、何らかの病気を発症している可能性があります。
ここでは、胃もたれの症状が表れる病気をご紹介します。
胃がん
胃にまつわる疾患の中でも、代表的なものが「胃がん」です。
2021年時点で、日本では4万1000人以上が胃がんにより亡くなっており、がんの中でも3番目に多い死因となっています。
例えば、腫瘍が胃の出口付近にできると、腸に食べ物が送られにくくなり、胃もたれの症状が出ることがあります。また、胃がんが進行すると胃の動きが鈍くなり、これも胃もたれに繋がります。
胃がんは早期発見が治療のカギとなる病気です。stage1段階では5年生存率は81.3%と高い数字を誇る一方で、stage4(末期)段階では5年生存率は7.9%と、大きく確率が下がります。検診などで定期的にチェックすることがなにより大切です。
ヘリコバクター・ピロリ感染
ヘリコバクター・ピロリ感染は、胃がんの原因として有名です。
ピロリ菌は、胃の粘膜や粘液に生息する菌で、日本人の約60%が感染していると言われ、慢性胃炎の原因の8割を占めるとされています。慢性胃炎の症状のひとつとして、胃もたれが現れます。
感染したピロリ菌は、アンモニアなどの酵素や毒素をつくりだし、胃壁や胃粘膜を傷つけます。この状態になると、ストレスや食べすぎなどのちょっとした原因で胃潰瘍などを発症します。
ピロリ菌の対処法としては、内服薬などで胃の中の除菌を行います。除菌後、胃もたれの症状が出るケースも確認されています。
機能性ディスペプシア
胃がんや胃潰瘍などが確認できないにも関わらず、胃もたれ・みぞおちの痛み・胃の膨満感などの不快な症状が起こる状態を「機能性ディスペプシア」といいます。
原因としては様々なものが考えられますが、胃や十二指腸の運動機能が何らかの理由で低下していることや、内臓の知覚過敏によるものと推察されています。また、前述したピロリ菌の感染によるケースもあるようです。
長く症状が続く場合は、消化器内科などの専門医の診察を受けることをおすすめします。
その他の消化器疾患
上記で紹介した代表的な病気以外にも、胃もたれを引き起こす病気があります。
・慢性胃炎(症候性胃炎)
喫煙やストレスなど、一時的な理由で起こる胃炎を「急性胃炎」と呼び、主にピロリ菌の感染による胃炎を「慢性胃炎」と呼びます。
慢性胃炎の症状は、空腹時や夜中の胸焼け、食後の胃のもたれ、胃が重い、吐き気などが挙げられます。
慢性胃炎の原因は、約80%がピロリ菌の感染による胃粘膜へのダメージとされています。この状態が長く続くと、胃の粘膜の厚みが減る「萎縮性胃炎」という状態になります。
さらに症状が進むと、胃がんへと発展する可能性があるため、症状を自覚した際は早めに医療機関を受診しましょう。
・胃潰瘍
胃潰瘍は、ストレスや過労が原因となることが多い病気です。
胃の消化作用により、胃の粘膜や胃壁が傷つけられ、進行すると胃粘膜の下の「筋層」という部分まで傷つけられます。
胃潰瘍患者の70〜90%がピロリ菌に感染しているとされています。ピロリ菌が作り出す物質が胃の粘膜を傷つけ、進行すると出血したり穴が開いたりすることもあるため、注意が必要です。
・十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍は、十二指腸の粘膜に傷がつき潰瘍ができる病気です。
発症すると、空腹時のみぞおち・胃の痛み、背中の痛み、吐き気などの症状が表れます。腹痛は空腹時にのみ起こることが多く、何か食べると痛みが少なくなります。
進行すると出血や吐血、下血、合併症として狭窄(きょうさく)を発症し、嘔吐を起こすことも考えられます。
胃もたれの対処法を知って健康な胃を取り戻そう
胃もたれは、適切な処置をすることで大幅に改善・予防ができます。普段から胃腸に優しい食習慣や生活習慣を心がけ、胃の健康をキープしましょう。
特に、飲み物を水や白湯に変えると、胃に優しいだけでなく、デトックス効果や肌トラブルの改善も期待できます。手軽に取り入れられる生活習慣として、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
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